Pay it Forward~ペイフォワード~
こんにちは、Tomiです。
今回は、2000年に公開された映画「ペイフォワード」についてです。
AIやシックスセンスにも出演していた”ハーレイ・ジョエル・オスメント”が子役として活躍する、個人的には何度見ても涙腺が崩壊する映画です。
結論から話すと「受けた恩のバトンを次の人に渡していく」という活動を社会科の授業の課題で生徒が考案し、社会現象にまで発展したという内容のものです。
簡単に言ってしまえばそれまでの映画ではあるものの、登場人物たちの抱える問題(トラウマなど)がなかなかにヘビーであるがゆえに、この「誰かに恩を渡していく」という行為自体が輝いていく作品になっています。
世界はクソだ
主人公のトレバーはアルコール依存症の母と同じく依存症の父(そしてDV加害者でもある)の間に生まれた子供。劣悪な家庭環境で育ったトレバーは、世界が「クソ」に見えて仕方ありません。
学校に行けばいじめの現場に出くわし、母はストレスから隠したお酒に入り浸る。そんな生活を送る中、社会科の先生「ユージーン」と出会います。
Think of an idea to change our world
顔にやけどを負った教師ユージーンは、生徒たちに課題を投げかけました。
(実はユージーンの火傷の原因も、父親のDVの関係でした)
「世界を変える方法を考え、実行してみよう」と。
「今は選挙権もなければ、教師の許可なくトイレにも行けない。そんな不自由な君たちだが、時期に自由になる。そうしたときに、世界が嫌なものだったらどうだろう。そして、その世界を変えることが君たちにできるとしたら、何をするだろう。」
のちに語られますが、この課題について、結果(つまり世界が変わるかどうか)については評点に含まれず、あくまで思考することが大切なんだそうです。そんな無謀とも思える課題に、トレバーはあるアイディアを実行に移します。
恩を3人に渡し、渡された人は別の3人に恩を渡す
これがこの映画の主眼「ペイフォワード」です。
トレバーはホームレスの男、いじめられっ子の友達、そして母に向けて恩を渡すことにします。しかし、ホームレスはすぐに薬物依存症に苦しみ、友達はいじめられているところを助けることができず、母への恩はなかなか成功しません。
結局、世界を変えることができない、と落ち込むトレバー。特に母への恩は、自分へ向けられる愛の形成という意味も込められており、彼にとってはとても重要なものでした。
それは、母に新しい恋人を作ってもらい、更生してもらおうというもの。その時につなげようと思ったのが、社会科の先生「ユージーン」でした。
紆余曲折ありながら母とユージーンは恋に落ちていくわけですが、ようやく自分の「恩」が一つつながったと分かったところで、悲劇が起きます。
(これ以上はネタバレになりますので、どうぞご自身で感動の結末をご覧ください)
世界は美しい
この映画では「恩(愛)をだれかほかの人に与えることで、幸せの連鎖が続くはず」という命題が根底に流れており、その中で過去のトラウマや現在の自分の問題と向き合う人間模様が描かれています。
個人的には以下の点がよりこの映画を秀逸なものにしていると感じています。
- 世界をくそだと思っていたトレバー自身が、最も「世界は美しい」と信じたかったと思われる点
- 作中でとても不幸に描かれ厭世観漂う少年が、一番最初に「恩」を3人に与えたこと
- 性善説に立脚し、他の人がバトンをつないでいくことを信じながらも、そのバトンを渡すかどうかについては「完全に自由」が認められているところ
トレバーは終盤、ペイフォワード運動の恩恵を受けた記者から取材を受けます。その時にこんな話をしています。
世界は、くそだと思っていたけど、思ったほどくそじゃない。
みんな、変わることが怖くて、勇気が出せないんだ。でも、勇気が出せなかった人たちは、負けなんだ。
トレバーは、世界を悲観していながら、愛に飢え、世界が美しくあればよいと願っていた少年なんだと思います。その愛に飢えた少年が、課題とはいえ誰かを救う一歩を踏み出したということは、社会的にも宗教的にも偉大な行為だったと思います。
最終的に、彼が渡した3人へのバトンは、彼の知らないところで瞬く間に広がり、社会現象を引き起こすまでになります。つまり、「世界を変えた」わけです。
皆さんは、世界をどんな風に見ていますか?
感染症のおかげで先が見えない、大好きな人に思いを伝えられない、どうしても許せない人がいる・・・本当に厳しい時代に突入してしまったと思います。
ですが、世界の様相は実は何にも変わっていないのではないでしょうか。トレバーと同じで、自分が世界を「くそ」だと思っているだけなのではないでしょうか。
あなたが生まれて、世界は美しくなったでしょうか。
きっと、両親家族、友達、会社の同僚、すべての人たちがあなたの存在を喜び、認め、愛してくれたはずです。そのもらっていたはずの愛を誰かにバトンタッチすると、もしかすると世界はより輝きを増すかもしれません。
1円もいらないはずです。
ほんのちょっとの勇気を出して誰かが助かる「お手伝い」をすることができれば、きっと世界が美しいということを実感できるのだと思います。
皆さんのお手伝いの後押しを少しでもできるよう、きっかけや物の見方を発信し続けていきます。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
皆様の目に映る世界が、きらきらと輝いて見えますように。